論文を丁寧に読む
ひとつの論文を丁寧に読んでいく日記です。論文ジャンルは医学系です。
嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍-5 year view-
Aspiration pneumonia and primary lung abscess: diagnosis and therapy of an aerobic or anaerobic infection?
Expert Review of Respiratory Medicine 2007; 1: 111-119
http://dx.doi.org/10.1586/17476348.1.1.111
5-year view

抗生剤耐性は感染症治療にとっては究極の挑戦となるだろう。最近の細菌学的評価では嫌気性菌による肺感染症はまれではあるが、公開されたデータによればペニシリン、βラクタマーゼ配合アミノペニシリンそしてクリンダマイシンに関連した嫌気性菌の耐性がすすんでいる。嚥下性肺炎の抗生剤治療失敗の増加をくいとめるためには、2つの原則を詳しく追跡調査する必要がある。一つは細菌学的検体採取や抗生剤試験は嫌気性菌による肺感染症において一番重要であること。2つ目は新しい抗生剤組み合わせは嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍に対する生体内での活性を評価する必要がある。
嫌気性菌の耐性パターンだけではなく、同時に感染している好気性菌に対する抗菌活性も評価するべきである。リネゾリドはMRSA肺炎に対して期待できる活性をしめした。その薬剤の分析結果は嫌気性菌による肺炎に関連した微生物に対して少なくともある程度の活性があると示唆している。最近のオキサゾリジノン系抗生物質は肺膿瘍の原因となる嫌気性菌に関してより有利な薬剤分析結果があると示唆されている。次の5年でMRSAと耐性嫌気性菌が含まれる場合の嚥下性肺炎に対するリネゾリドの役割を理解できるようになるべきである。グラム陰性菌をカバーする十分な組み合わせが同定されなければななく、セファロスポリンやアシルレイドペニシリンは妥当のように見える。クリンダマイシンに関連した嫌気性菌の感受性の低下が世界的に広がったとしたらこの基質は嚥下性肺炎の1st line治療の推奨からは外されるだろう。
抗生物質の基質に長期間さらすことが抗生剤の耐性獲得を進める重要な原因の一つである。肺膿瘍の推奨治療期間は非嚥下性肺炎と比較すると輪郭がしっかりしている。全体として5日間というのが合併症のない市中肺炎の推奨期間である。たとえ画像変化や炎症バイオマーカーが正常化していなくても抗生剤治療を終了できる根拠のある基準を提供することが近未来でのひとつの目標である。



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Expert Review of Respiratory Medicine 2007; 1: 111-119
http://dx.doi.org/10.1586/17476348.1.1.111
5-year view

抗生剤耐性は感染症治療にとっては究極の挑戦となるだろう。最近の細菌学的評価では嫌気性菌による肺感染症はまれではあるが、公開されたデータによればペニシリン、βラクタマーゼ配合アミノペニシリンそしてクリンダマイシンに関連した嫌気性菌の耐性がすすんでいる。嚥下性肺炎の抗生剤治療失敗の増加をくいとめるためには、2つの原則を詳しく追跡調査する必要がある。一つは細菌学的検体採取や抗生剤試験は嫌気性菌による肺感染症において一番重要であること。2つ目は新しい抗生剤組み合わせは嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍に対する生体内での活性を評価する必要がある。
嫌気性菌の耐性パターンだけではなく、同時に感染している好気性菌に対する抗菌活性も評価するべきである。リネゾリドはMRSA肺炎に対して期待できる活性をしめした。その薬剤の分析結果は嫌気性菌による肺炎に関連した微生物に対して少なくともある程度の活性があると示唆している。最近のオキサゾリジノン系抗生物質は肺膿瘍の原因となる嫌気性菌に関してより有利な薬剤分析結果があると示唆されている。次の5年でMRSAと耐性嫌気性菌が含まれる場合の嚥下性肺炎に対するリネゾリドの役割を理解できるようになるべきである。グラム陰性菌をカバーする十分な組み合わせが同定されなければななく、セファロスポリンやアシルレイドペニシリンは妥当のように見える。クリンダマイシンに関連した嫌気性菌の感受性の低下が世界的に広がったとしたらこの基質は嚥下性肺炎の1st line治療の推奨からは外されるだろう。
抗生物質の基質に長期間さらすことが抗生剤の耐性獲得を進める重要な原因の一つである。肺膿瘍の推奨治療期間は非嚥下性肺炎と比較すると輪郭がしっかりしている。全体として5日間というのが合併症のない市中肺炎の推奨期間である。たとえ画像変化や炎症バイオマーカーが正常化していなくても抗生剤治療を終了できる根拠のある基準を提供することが近未来でのひとつの目標である。


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Topic : 薬・医者・病院等 - Genre : Mental/Health
嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍-専門家のコメント-
Aspiration pneumonia and primary lung abscess: diagnosis and therapy of an aerobic or anaerobic infection?
Expert Review of Respiratory Medicine 2007; 1: 111-119
http://dx.doi.org/10.1586/17476348.1.1.111
専門家のコメント
嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍はある意味では変わった感染症である。他の多くの肺感染症とは異なり、変化の少ない多細菌の感染源があり嫌気性菌感染を呈する。肺内に多くの嫌気性菌種が膿瘍を形成する事実はだいたい80年前にDavid Smithによって示された。にもかかわらず好気性菌が非空洞性の嚥下性肺炎の原因の首位である。この矛盾は現在でも解決していない。空洞形成性の嚥下性肺炎における好気性菌の役割は十分に解明されていないが、S. aureus, P. aeruginosa, K. pneumoniaeといった典型的な気道感染病原体の存在は肺膿瘍の死亡リスクと関連がある。それゆえ確定している好気性気道病原菌を抗生剤治療の標的にいれることは理にかなっている。S. aureus や K. pneumoniaeといった細菌は誤嚥によってではなく、血行性またはエアゾル吸入によって壊死性肺炎を起こすのだということを銘記しておきべきである。
誤嚥は健常人でも非常によくあるイベントであるが、構造的、免疫的状態が正常であるかぎり下気道感染にいたることは非常にまれである。嚥下性肺炎はそれ以外の人にはまれであるが、アルコール依存や頻繁にてんかんを起こす人たちに限定している。それにも関わらず日常臨床では誤嚥にひきつづいて起きる嚥下性肺炎や原発性肺膿瘍の診断はとても困難である。なぜなら最初の誤嚥エピソードは気づかれない可能性があり、空洞形成の画像所見には規則性がないためである。鑑別診断は広く、感染性/非感染性である肺内/肺外疾患を含む。それゆえに診断は臨床所見やCT画像だけにたよるのではなく、可能な限り気管支鏡による評価を含める必要がある。
抗菌薬治療は誤嚥に引き続いておきる空洞形成性肺疾患を解決するアプローチであり、嫌気性菌までのスペクトルを必要とし、典型的な気道病原体までも含めた広いスペクトルは、特に培養検査でほかの微生物が検出された場合は理にかなっている。クリンダマイシン±セファロスポリン、アミノペニシリン/βラクタマーゼ阻害薬、嫌気性菌感性のあるニューキノロンの3者は臨床経過や治療効果という観点からは同等の効果が示された。3者はすべて一連の治療のため経口、非経口の剤型で利用可能であるがいくらか制限がある。
クリンダマイシンは感染性腸炎のもっとも頻度の高い原因のひとつであり、1日3回の使用が必要である。もしセファロスポリンと組み合わせて使う場合は経静脈的にβラクタム薬の使用が進められる。この場合入院期間を延長させてしまうかもしれなく、クリンダマイシンベースのレジメンは魅力的にはみえないかもしれない。全体として長期の薬剤毒性やコストは低く抑えられるのだけれども。
アミノペニシリン/βラクタマーゼ阻害薬は値段がより高く、毒性は低い。広いスペクトルのため単剤で使用され経口で用いるときは1日2回の使用でよい。この場合、患者の治療コンプライアンスの点でアドバンテージがある。コンプライアンスがなく早期治療中断の場合、嫌気性活性のあるニューキノロン(モキシフロキサシン)が特に期待できる。なぜなら非経口でも経口でも1日1回投与でよいからである。しかしながら不利益なことはこの新しい薬剤は値段が高いこと、長期使用(3か月以上)の潜在的な毒性に関する情報が限定的であることである。これまで頻出またはより重篤な副作用を示唆するデータはない。
生体内でのデータは乏しいものの、カルバペネム(イミペネム、メロペネム)やアシルレイドペニシリン(ピペラシリン)/βラクタマーゼ阻害薬は院内発症肺炎では重要な役割を果たす。特にICUや分離された微生物がより広域なスぺクトルを必要とする場合には。
腹腔内感染では優れた抗菌活性を示すが、メトロニダゾールは肺嫌気性感染では使用を避けるべきである。なぜなら誤嚥された口咽頭の独特な細菌組成に対しては不十分な抗菌効果しかもたないためである。
理想的な嚥下性肺炎や原発性肺膿瘍の治療期間については現在議論中である。空洞性病変が出現した場合は抗菌薬治療期間は、合併症のない嚥下性肺炎治療期間よりも長くする必要がある。限定的なデータではあるが、画像所見が正常化または感染症のマーカーが正常化するまで治療を続けた場合、治療失敗、再治療の確率は低く抑えられる。公開された支持データに乏しいが、原発性肺膿瘍の平均治療期間は4週間までに制限し、それ以上の延長はよくよく考えて使うのが妥当と思われる。不必要な延長は有意にコスト増となり、耐性菌を作り出すことになるだろうが、早期中断は再発の危険性や効果不十分な外科治療を必要とする確率を上げるだろう。
膿性分泌物のドレナージは絶対適応だが、経気管支的に行うことで非常に効果的となりえる。それゆえ肺膿瘍の外科的治療はルーチンではなく、重篤な合併症がある場合に限定されるべきであり、その際には手遅れになることなく施行されるべきである、たとえば胸膜膿胸の場合など。
Expert Review of Respiratory Medicine 2007; 1: 111-119
http://dx.doi.org/10.1586/17476348.1.1.111
専門家のコメント
嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍はある意味では変わった感染症である。他の多くの肺感染症とは異なり、変化の少ない多細菌の感染源があり嫌気性菌感染を呈する。肺内に多くの嫌気性菌種が膿瘍を形成する事実はだいたい80年前にDavid Smithによって示された。にもかかわらず好気性菌が非空洞性の嚥下性肺炎の原因の首位である。この矛盾は現在でも解決していない。空洞形成性の嚥下性肺炎における好気性菌の役割は十分に解明されていないが、S. aureus, P. aeruginosa, K. pneumoniaeといった典型的な気道感染病原体の存在は肺膿瘍の死亡リスクと関連がある。それゆえ確定している好気性気道病原菌を抗生剤治療の標的にいれることは理にかなっている。S. aureus や K. pneumoniaeといった細菌は誤嚥によってではなく、血行性またはエアゾル吸入によって壊死性肺炎を起こすのだということを銘記しておきべきである。
誤嚥は健常人でも非常によくあるイベントであるが、構造的、免疫的状態が正常であるかぎり下気道感染にいたることは非常にまれである。嚥下性肺炎はそれ以外の人にはまれであるが、アルコール依存や頻繁にてんかんを起こす人たちに限定している。それにも関わらず日常臨床では誤嚥にひきつづいて起きる嚥下性肺炎や原発性肺膿瘍の診断はとても困難である。なぜなら最初の誤嚥エピソードは気づかれない可能性があり、空洞形成の画像所見には規則性がないためである。鑑別診断は広く、感染性/非感染性である肺内/肺外疾患を含む。それゆえに診断は臨床所見やCT画像だけにたよるのではなく、可能な限り気管支鏡による評価を含める必要がある。
抗菌薬治療は誤嚥に引き続いておきる空洞形成性肺疾患を解決するアプローチであり、嫌気性菌までのスペクトルを必要とし、典型的な気道病原体までも含めた広いスペクトルは、特に培養検査でほかの微生物が検出された場合は理にかなっている。クリンダマイシン±セファロスポリン、アミノペニシリン/βラクタマーゼ阻害薬、嫌気性菌感性のあるニューキノロンの3者は臨床経過や治療効果という観点からは同等の効果が示された。3者はすべて一連の治療のため経口、非経口の剤型で利用可能であるがいくらか制限がある。
クリンダマイシンは感染性腸炎のもっとも頻度の高い原因のひとつであり、1日3回の使用が必要である。もしセファロスポリンと組み合わせて使う場合は経静脈的にβラクタム薬の使用が進められる。この場合入院期間を延長させてしまうかもしれなく、クリンダマイシンベースのレジメンは魅力的にはみえないかもしれない。全体として長期の薬剤毒性やコストは低く抑えられるのだけれども。
アミノペニシリン/βラクタマーゼ阻害薬は値段がより高く、毒性は低い。広いスペクトルのため単剤で使用され経口で用いるときは1日2回の使用でよい。この場合、患者の治療コンプライアンスの点でアドバンテージがある。コンプライアンスがなく早期治療中断の場合、嫌気性活性のあるニューキノロン(モキシフロキサシン)が特に期待できる。なぜなら非経口でも経口でも1日1回投与でよいからである。しかしながら不利益なことはこの新しい薬剤は値段が高いこと、長期使用(3か月以上)の潜在的な毒性に関する情報が限定的であることである。これまで頻出またはより重篤な副作用を示唆するデータはない。
生体内でのデータは乏しいものの、カルバペネム(イミペネム、メロペネム)やアシルレイドペニシリン(ピペラシリン)/βラクタマーゼ阻害薬は院内発症肺炎では重要な役割を果たす。特にICUや分離された微生物がより広域なスぺクトルを必要とする場合には。
腹腔内感染では優れた抗菌活性を示すが、メトロニダゾールは肺嫌気性感染では使用を避けるべきである。なぜなら誤嚥された口咽頭の独特な細菌組成に対しては不十分な抗菌効果しかもたないためである。
理想的な嚥下性肺炎や原発性肺膿瘍の治療期間については現在議論中である。空洞性病変が出現した場合は抗菌薬治療期間は、合併症のない嚥下性肺炎治療期間よりも長くする必要がある。限定的なデータではあるが、画像所見が正常化または感染症のマーカーが正常化するまで治療を続けた場合、治療失敗、再治療の確率は低く抑えられる。公開された支持データに乏しいが、原発性肺膿瘍の平均治療期間は4週間までに制限し、それ以上の延長はよくよく考えて使うのが妥当と思われる。不必要な延長は有意にコスト増となり、耐性菌を作り出すことになるだろうが、早期中断は再発の危険性や効果不十分な外科治療を必要とする確率を上げるだろう。
膿性分泌物のドレナージは絶対適応だが、経気管支的に行うことで非常に効果的となりえる。それゆえ肺膿瘍の外科的治療はルーチンではなく、重篤な合併症がある場合に限定されるべきであり、その際には手遅れになることなく施行されるべきである、たとえば胸膜膿胸の場合など。
Topic : 薬・医者・病院等 - Genre : Mental/Health
嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍-肺膿瘍の鑑別と治療-
Aspiration pneumonia and primary lung abscess: diagnosis and therapy of an aerobic or anaerobic infection?
Expert Review of Respiratory Medicine 2007; 1: 111-119
http://dx.doi.org/10.1586/17476348.1.1.111
肺膿瘍の鑑別
嚥下によって引き起こされた肺炎をみたとき、肺膿瘍や肺内空洞病変を引き起こすほかの原因を鑑別しなければならない。Klebsiella pneumoniae (Friedländer pneumonia)はS. aureusと同様に肺の壊死を引き起こし、エアゾル化した粒子や血流にのって引き起こされる(右心内膜炎や血管周囲炎)。結核はすべての感染性、非感染性の肺、胸膜疾患によく似ており、信頼のおける、迅速な検査これは十分な検体を採取する方法や核酸増幅法も含まれるがこのような診断ツールを使って迅速な診断が要求される。肺空洞病変のほかの原因としては、気管支閉塞(例えば異物誤嚥、腫瘍閉塞)による慢性炎症によっても起きうる。エキノコッカス、ノカルジア、アクチノマイシス、真菌感染は肺内空洞病変を引き起こす。HIV感染者やほかの免疫不全患者においては、真菌やpneumocystis jiroveci pneumonia (PCP)は考慮されなければならない。ひどい感染をおこしたブラや拡張気管支は肺空洞病変とみなされるかもしれない。非感染性の壊死性肺病変は、原発性肺癌、多くの場合は扁平上皮癌、転移(尿路上皮癌)、血管炎(wegener肉芽種)、感染性肺梗塞が含まれる。進行食道癌の放射線治療後や外傷、その他の胸部外傷に引き続いて生じた気管食道瘻において慢性誤嚥は起きうる。
治療
抗生物質の登場以前は、膿瘍に対する外科的ドレナージが唯一の治療であった。肺膿瘍の外科的な治療が最初に報告されたのはバリーヴィ時代、1696年のことだった。Schulzはさまざまな原因による306例の肺膿瘍の死亡率は29-36%と1901年に報告した。Bartlettはさらに大規模な症例数でも死亡率は32-34%であり同じような結果を1936年に報告した。これは外科的、すなわち気管内ドレナージであろうと保存的な治療だとしても独立した結果であった。
抗生物質の登場以降は、80-90%の肺膿瘍は保存的にうまくいき、市中嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍の死亡率は10%と15%であった。我々の調べでもそれぞれ13%,14.5%であった。
外科的治療は現在でも重症度の高い合併症での適応に限られている、これには胸膜膿胸、気管支胸膜瘻、持続する血痰、相当な肺欠損が抗生剤治療後に認められる場合である。そんな中で抗生物質は成功した治療法であった。嚥下性肺炎における嫌気性菌の役割を考えれば、多くの抗菌薬は以前よりずっと嫌気性菌を広くカバーする基質を使うことが推奨されてきた。ペニシリンやクリンダマイシンはどちらも非常に優れた嫌気性菌に対する活性を有しており長い間大人でも子供でも効果とコストに優れたため好まれて使われてきた。しかしながら一部ではβラクタマーゼ産生バクテロイデス属の増加のため高い治療失敗率とペニシリンが関連していると考えた。以前の研究者BartlettやGorbachは異なった耐性条件下ではペニシリンはクリンダマイシンに好都合であると考えた。どちらの基質もグラム陰性菌に対しては有意な活性をもっていない。嚥下性肺炎に取り組んだ最近の研究者たちは、一般的な呼吸器系病原体を特定した。これらにはH. influenzae, K. pneumoniaeやGram陰性腸内細菌が含まれる。これらの研究からクリンダマイシン+第2or3世代セファロスポリン、アミノペニシリン(βラクタマーゼ配合)あるいはニューキノロン(好気性菌カバー)を使用することとなった。これら3つの治療戦略はかなりの成果をあげた。臨床的な治癒率は64-68%であり、統計学的な有意差をどの治療群に対しても認めなかった。このためこれらは等しく嚥下性肺炎、原発性肺膿瘍の治療として推奨された。
メトロニダゾールは特別な役割を嫌気性菌の肺感染症に対して有していない。生体外での嫌気性菌に対しての抗菌活性は優れているものの、これまで比較基質に対して劣っていると分析されている。この理由としては微好気性の連鎖球菌に対する活性が乏しいことが考えられている。
院内嚥下性肺炎に対する治療データは乏しい(2012年現在ではHAPの治療ガイドラインは存在)。また生体内でのカルバペネム系、嫌気性菌をカバーした新しい抗生物質の組み合わせの使用についてのデータも乏しい。
肺膿瘍の治療期間については(2007年現在)議論の場である。抗菌薬耐性が増えている中、下気道感染の多くの症例で抗菌薬使用期間は明らかに短くなる傾向である。この原則は多くの嚥下性肺炎例で受け入れられるが、膿瘍が生じる場合では真実ではないようである。多くの著者は構造的な異常がある場合は画像所見上正常化するまでまたは検査データで炎症反応が消えるまで抗生剤を長く使うことを提唱している。膿瘍を広範に形成する症例では安全を確保しながら3か月まで抗生物質を長く使うことを提唱している論文もある。
限定された症例数の報告では、耐性菌や長く抗生剤を使用したあとの重篤な副作用による合併症という点では、有害事象は認められなかった。ある研究では、肺膿瘍を伴わない嚥下性肺炎の平均治療期間は10日(3-45日)であり、原発性肺膿瘍の場合は32日(6-158日)であった。
Expert Review of Respiratory Medicine 2007; 1: 111-119
http://dx.doi.org/10.1586/17476348.1.1.111
肺膿瘍の鑑別
嚥下によって引き起こされた肺炎をみたとき、肺膿瘍や肺内空洞病変を引き起こすほかの原因を鑑別しなければならない。Klebsiella pneumoniae (Friedländer pneumonia)はS. aureusと同様に肺の壊死を引き起こし、エアゾル化した粒子や血流にのって引き起こされる(右心内膜炎や血管周囲炎)。結核はすべての感染性、非感染性の肺、胸膜疾患によく似ており、信頼のおける、迅速な検査これは十分な検体を採取する方法や核酸増幅法も含まれるがこのような診断ツールを使って迅速な診断が要求される。肺空洞病変のほかの原因としては、気管支閉塞(例えば異物誤嚥、腫瘍閉塞)による慢性炎症によっても起きうる。エキノコッカス、ノカルジア、アクチノマイシス、真菌感染は肺内空洞病変を引き起こす。HIV感染者やほかの免疫不全患者においては、真菌やpneumocystis jiroveci pneumonia (PCP)は考慮されなければならない。ひどい感染をおこしたブラや拡張気管支は肺空洞病変とみなされるかもしれない。非感染性の壊死性肺病変は、原発性肺癌、多くの場合は扁平上皮癌、転移(尿路上皮癌)、血管炎(wegener肉芽種)、感染性肺梗塞が含まれる。進行食道癌の放射線治療後や外傷、その他の胸部外傷に引き続いて生じた気管食道瘻において慢性誤嚥は起きうる。
治療
抗生物質の登場以前は、膿瘍に対する外科的ドレナージが唯一の治療であった。肺膿瘍の外科的な治療が最初に報告されたのはバリーヴィ時代、1696年のことだった。Schulzはさまざまな原因による306例の肺膿瘍の死亡率は29-36%と1901年に報告した。Bartlettはさらに大規模な症例数でも死亡率は32-34%であり同じような結果を1936年に報告した。これは外科的、すなわち気管内ドレナージであろうと保存的な治療だとしても独立した結果であった。
抗生物質の登場以降は、80-90%の肺膿瘍は保存的にうまくいき、市中嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍の死亡率は10%と15%であった。我々の調べでもそれぞれ13%,14.5%であった。
外科的治療は現在でも重症度の高い合併症での適応に限られている、これには胸膜膿胸、気管支胸膜瘻、持続する血痰、相当な肺欠損が抗生剤治療後に認められる場合である。そんな中で抗生物質は成功した治療法であった。嚥下性肺炎における嫌気性菌の役割を考えれば、多くの抗菌薬は以前よりずっと嫌気性菌を広くカバーする基質を使うことが推奨されてきた。ペニシリンやクリンダマイシンはどちらも非常に優れた嫌気性菌に対する活性を有しており長い間大人でも子供でも効果とコストに優れたため好まれて使われてきた。しかしながら一部ではβラクタマーゼ産生バクテロイデス属の増加のため高い治療失敗率とペニシリンが関連していると考えた。以前の研究者BartlettやGorbachは異なった耐性条件下ではペニシリンはクリンダマイシンに好都合であると考えた。どちらの基質もグラム陰性菌に対しては有意な活性をもっていない。嚥下性肺炎に取り組んだ最近の研究者たちは、一般的な呼吸器系病原体を特定した。これらにはH. influenzae, K. pneumoniaeやGram陰性腸内細菌が含まれる。これらの研究からクリンダマイシン+第2or3世代セファロスポリン、アミノペニシリン(βラクタマーゼ配合)あるいはニューキノロン(好気性菌カバー)を使用することとなった。これら3つの治療戦略はかなりの成果をあげた。臨床的な治癒率は64-68%であり、統計学的な有意差をどの治療群に対しても認めなかった。このためこれらは等しく嚥下性肺炎、原発性肺膿瘍の治療として推奨された。
メトロニダゾールは特別な役割を嫌気性菌の肺感染症に対して有していない。生体外での嫌気性菌に対しての抗菌活性は優れているものの、これまで比較基質に対して劣っていると分析されている。この理由としては微好気性の連鎖球菌に対する活性が乏しいことが考えられている。
院内嚥下性肺炎に対する治療データは乏しい(2012年現在ではHAPの治療ガイドラインは存在)。また生体内でのカルバペネム系、嫌気性菌をカバーした新しい抗生物質の組み合わせの使用についてのデータも乏しい。
肺膿瘍の治療期間については(2007年現在)議論の場である。抗菌薬耐性が増えている中、下気道感染の多くの症例で抗菌薬使用期間は明らかに短くなる傾向である。この原則は多くの嚥下性肺炎例で受け入れられるが、膿瘍が生じる場合では真実ではないようである。多くの著者は構造的な異常がある場合は画像所見上正常化するまでまたは検査データで炎症反応が消えるまで抗生剤を長く使うことを提唱している。膿瘍を広範に形成する症例では安全を確保しながら3か月まで抗生物質を長く使うことを提唱している論文もある。
限定された症例数の報告では、耐性菌や長く抗生剤を使用したあとの重篤な副作用による合併症という点では、有害事象は認められなかった。ある研究では、肺膿瘍を伴わない嚥下性肺炎の平均治療期間は10日(3-45日)であり、原発性肺膿瘍の場合は32日(6-158日)であった。
Topic : 薬・医者・病院等 - Genre : Mental/Health
嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍-riskと臨床症状-
Aspiration pneumonia and primary lung abscess: diagnosis and therapy of an aerobic or anaerobic infection?
Expert Review of Respiratory Medicine 2007; 1: 111-119
http://dx.doi.org/10.1586/17476348.1.1.111
嚥下性肺炎のrisk
誤嚥自体はよく起きることであり、健常人でもそうである。睡眠中に試験を受けた約半数の人がsilent誤嚥を起こしているといくつもの論文で報告されている。silent誤嚥の多くの場合、免疫グロブリンとともに咳や粘膜繊毛、気管支内/肺胞内のドン食細胞を含めた機械的、免疫的な防御機構で肺炎は予防されている。1回の嚥下で起きる口咽頭の微生物の量は、10^4から10^5である。この量は様々な動物実験で気管支炎や肺炎を起こしたり起こさなかったりする量である。
誤嚥の回数が頻回になり、自然免疫を超える量となれば感染症が成立する。成人ではアルコール依存症が顕性誤嚥のもっとも重要な原因である。それ以外の原因としては、繰り返すてんかん、神経筋疾患、麻酔、食道機能不全。
あるsystematic reviewでは虚血性脳卒中後の嚥下障害が非常によくみられる原因であり、患者の45-78%に見られるという。
嚥下障害がそのままだと肺炎のriskは3倍以上となり、嚥下時に明らかな誤嚥を認めたものは11倍になる。
嚥下機能を失う原因として、
・加齢・免疫機能低下・咳を起こす筋力の低下・nursing-homeでの居住者への食事法
これらは高齢者層ではより関連深いriskとなる。
食事介助されている人は、有意なrisk群であり、odds比は13.9となる。
口腔内ケアは感染性のdebrisの量を決定するのに重要な役割をもち、存在する病原体や感染に関係する病原体の分布に影響を与える。
口腔内には数多くの細菌種が存在し、歯肉周囲の膿瘍(歯槽膿漏)では嫌気性菌が10^11/ml存在する可能性がある。蝕歯(虫歯)は嚥下性肺炎のriskを増やし、虫歯の数の1.2倍までriskを上げる。
長期間介護施設に入居している人の歯のplaqueには有意な数の好気性菌が存在する。その中には、S. aureus, enteric Gramnegative bacilli and Pseudomonas aeruginosaが含まれる。これらの菌は重症な下気道感染の多くの例で起因菌となる菌に一致している。栄養に関する器材が口腔内に存在する病原菌分布を複雑にまた潜在的にするriskを作り出す。施設入所中の患者からS.aureusやグラム陰性腸内細菌が口腔内にcolonizationしている確率は経口摂取している人で17.5%、胃瘻がある人で51%、経鼻胃管を使っている人で実に81%と報告されている。
臨床症状と診断
嚥下性肺炎の初期は他の原因による肺炎によく似ており、臨床症状や画像所見で明確に区別することは難しい。嚥下性肺炎と非嚥下性肺炎を見分けるもっとも重要な診断基準は、目撃された肺炎あるいは有意な誤嚥性肺炎に対する典型的riskを有しているかどうかである。多くの例では空洞形成性誤嚥性肺炎のはじまりは確認されない。なぜなら典型的な臨床コースは慢性的であるからである。感染から壊死性肺炎や肺膿瘍の形成までの平均的な時間は8-14日であり、最初の症状から典型的な画像所見まではしばしば3-4週間である。
微熱、咳、体重減少、寝汗そして血痰はしばしばみられる症状であるが非特異的な症状である。CRPやその他の急性期タンパクはしばしば白血球よりも目立って増える。腐臭の痰は誤嚥性肺炎での嫌気性菌感染で特徴的であるが、肺に空洞を形成する場合にしか起きない。
肺実質の欠如は典型的には独立した肺区域に限局する。上葉の後区域と下葉の肺尖部はもっともよく起きるとされ、主気管支の解剖学的な構造から誤嚥は右肺に好発する。
Wangらは多発肺空洞病変、膿瘍、そして胸痛は好気性菌感染でしばしば認められ、特にグラム陰性菌で認められる。厳密には嫌気性菌による肺感染症は診断前の時間が長いこと(30日以上)、単一の肺空洞病変、そして腐臭痰に関連している。
検査所見やその他臨床所見そして早めの抗生剤は両者で違いがみられなかった。これは多様な鑑別疾患があることによる。そして空洞性肺疾患は慎重な経過観察とともに早めの対策が必要である。CTは病変を限局化し、病変を見つけるにはとても有用な検査である。しかしながらそれぞれのケースで気管支鏡検査は考えるべきであり、限局した壊死の発症部位としての気管閉塞の除外だけでなく、細菌検査の生検体を得るためである。嫌気性菌はこの感染症では重要であり、十分な検体採取方法が望まれるが、それはすべてのケースで忍容性があるとは言い難い。このため嫌気性菌培養は省略されるかもしれない。しかし気管支洗浄液やブラシングで得られたサンプルの培養はすべてのケースで行われるべきである。多くの肺感染疾患の場合と同様に喀痰培養は診断価値がほとんどなく、これは口咽頭や上気道の菌のコンタミが原因である。抗菌治療前に血液培養は行われるべきであるが、得られる情報は少なく、嫌気性菌についてはとくに少ない。



Expert Review of Respiratory Medicine 2007; 1: 111-119
http://dx.doi.org/10.1586/17476348.1.1.111
嚥下性肺炎のrisk
誤嚥自体はよく起きることであり、健常人でもそうである。睡眠中に試験を受けた約半数の人がsilent誤嚥を起こしているといくつもの論文で報告されている。silent誤嚥の多くの場合、免疫グロブリンとともに咳や粘膜繊毛、気管支内/肺胞内のドン食細胞を含めた機械的、免疫的な防御機構で肺炎は予防されている。1回の嚥下で起きる口咽頭の微生物の量は、10^4から10^5である。この量は様々な動物実験で気管支炎や肺炎を起こしたり起こさなかったりする量である。
誤嚥の回数が頻回になり、自然免疫を超える量となれば感染症が成立する。成人ではアルコール依存症が顕性誤嚥のもっとも重要な原因である。それ以外の原因としては、繰り返すてんかん、神経筋疾患、麻酔、食道機能不全。
あるsystematic reviewでは虚血性脳卒中後の嚥下障害が非常によくみられる原因であり、患者の45-78%に見られるという。
嚥下障害がそのままだと肺炎のriskは3倍以上となり、嚥下時に明らかな誤嚥を認めたものは11倍になる。
嚥下機能を失う原因として、
・加齢・免疫機能低下・咳を起こす筋力の低下・nursing-homeでの居住者への食事法
これらは高齢者層ではより関連深いriskとなる。
食事介助されている人は、有意なrisk群であり、odds比は13.9となる。
口腔内ケアは感染性のdebrisの量を決定するのに重要な役割をもち、存在する病原体や感染に関係する病原体の分布に影響を与える。
口腔内には数多くの細菌種が存在し、歯肉周囲の膿瘍(歯槽膿漏)では嫌気性菌が10^11/ml存在する可能性がある。蝕歯(虫歯)は嚥下性肺炎のriskを増やし、虫歯の数の1.2倍までriskを上げる。
長期間介護施設に入居している人の歯のplaqueには有意な数の好気性菌が存在する。その中には、S. aureus, enteric Gramnegative bacilli and Pseudomonas aeruginosaが含まれる。これらの菌は重症な下気道感染の多くの例で起因菌となる菌に一致している。栄養に関する器材が口腔内に存在する病原菌分布を複雑にまた潜在的にするriskを作り出す。施設入所中の患者からS.aureusやグラム陰性腸内細菌が口腔内にcolonizationしている確率は経口摂取している人で17.5%、胃瘻がある人で51%、経鼻胃管を使っている人で実に81%と報告されている。
臨床症状と診断
嚥下性肺炎の初期は他の原因による肺炎によく似ており、臨床症状や画像所見で明確に区別することは難しい。嚥下性肺炎と非嚥下性肺炎を見分けるもっとも重要な診断基準は、目撃された肺炎あるいは有意な誤嚥性肺炎に対する典型的riskを有しているかどうかである。多くの例では空洞形成性誤嚥性肺炎のはじまりは確認されない。なぜなら典型的な臨床コースは慢性的であるからである。感染から壊死性肺炎や肺膿瘍の形成までの平均的な時間は8-14日であり、最初の症状から典型的な画像所見まではしばしば3-4週間である。
微熱、咳、体重減少、寝汗そして血痰はしばしばみられる症状であるが非特異的な症状である。CRPやその他の急性期タンパクはしばしば白血球よりも目立って増える。腐臭の痰は誤嚥性肺炎での嫌気性菌感染で特徴的であるが、肺に空洞を形成する場合にしか起きない。
肺実質の欠如は典型的には独立した肺区域に限局する。上葉の後区域と下葉の肺尖部はもっともよく起きるとされ、主気管支の解剖学的な構造から誤嚥は右肺に好発する。
Wangらは多発肺空洞病変、膿瘍、そして胸痛は好気性菌感染でしばしば認められ、特にグラム陰性菌で認められる。厳密には嫌気性菌による肺感染症は診断前の時間が長いこと(30日以上)、単一の肺空洞病変、そして腐臭痰に関連している。
検査所見やその他臨床所見そして早めの抗生剤は両者で違いがみられなかった。これは多様な鑑別疾患があることによる。そして空洞性肺疾患は慎重な経過観察とともに早めの対策が必要である。CTは病変を限局化し、病変を見つけるにはとても有用な検査である。しかしながらそれぞれのケースで気管支鏡検査は考えるべきであり、限局した壊死の発症部位としての気管閉塞の除外だけでなく、細菌検査の生検体を得るためである。嫌気性菌はこの感染症では重要であり、十分な検体採取方法が望まれるが、それはすべてのケースで忍容性があるとは言い難い。このため嫌気性菌培養は省略されるかもしれない。しかし気管支洗浄液やブラシングで得られたサンプルの培養はすべてのケースで行われるべきである。多くの肺感染疾患の場合と同様に喀痰培養は診断価値がほとんどなく、これは口咽頭や上気道の菌のコンタミが原因である。抗菌治療前に血液培養は行われるべきであるが、得られる情報は少なく、嫌気性菌についてはとくに少ない。


Topic : 薬・医者・病院等 - Genre : Mental/Health
嚥下性肺炎と原発性肺膿瘍-definition & pathogenesis-
Aspiration pneumonia and primary lung abscess: diagnosis and therapy of an aerobic or anaerobic infection?
Expert Review of Respiratory Medicine 2007; 1: 111-119
http://dx.doi.org/10.1586/17476348.1.1.111
定義
1つの肺空洞病変は嚥下後に一般的に見られ、複数の病変はそのほか空洞性肺疾患により頻繁にみられる。壊死性肺炎は直径2cmまでの空洞に用いられ、「原発性肺膿瘍は」2cm以上の病変に用いられる。これらの原発性空洞性肺疾患と二次性膿瘍とは区別されなければならない。二次性膿瘍の原因としては、異物や腫瘍による気管支閉塞があげられる。
嚥下性肺炎はもともと感染性疾患であり、上部消化管の無菌の内容物(Mendelson症候群)、ガソリン、石油、油脂その他の物質を嚥下した後に起きる気管支、肺の化学性炎症とは異なる。
病原体
口咽頭分泌物の誤嚥はよく見られるが、下気道感染の発生頻度に必ずしも関連しない。感染症とは、自然免疫システムが誤嚥した微生物の量や毒力に敗れたときにのみ起きるものであり、それ以外では健常人には起きにくい状況である。
口腔内には様々な菌が常在しており、その中には肺炎の典型的な原因となるStaphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniae,aemophilus influenzae, そして無数の微好気性、嫌気性菌が存在する。
唾液内の細菌濃度は10^8/mlであり、好気性菌よりも微好気性、嫌気性菌の方が数が多い。
このため誤嚥した物質には多種類の細菌で構成されており、常に嫌気性菌が含まれることとなる。抗生物質以前の時代での報告では、嚥下性肺炎や原発性肺膿瘍では多種類の嫌気性菌が同定されているが、近年では実質的な嫌気性菌の割合は低いということがわかった。
この違いの理由としては、サンプル収集方法(経気管的吸引、気管支鏡手技)、サンプル収集前に抗生物質使用が考えられている。
膿瘍形成は誤嚥が起きてから比較的遅れてから生じる。膿瘍形成と初期症状の時間差は平均3週間以上と報告されている。
肺感染症の動物モデルを原発性肺膿瘍から得られた膿から作成し、このモデルから嫌気性菌を分離した。原発性肺膿瘍に進展するには、一つではなく、最低4つの口咽頭由来の嫌気性菌の組み合わせが必要であった。これらの嫌気性菌には、Fusobacterium nucleatum, Peptostreptococcus, Prevotella melaninogenicaが含まれた。これらは肺膿瘍からよく分離される菌である。
膿瘍形成へ嫌気性菌の役割は確立された理論であるが、壊死を起こさない嚥下性肺炎に嫌気性菌は関連しているのかどうかは明らかではない。よくデザインされた研究で、重症嚥下性肺炎の高齢者95人のうち、分離された67病原菌のうち嫌気性菌は16%にすぎなかった。さらに嫌気性菌を含む7人の患者は不十分な治療であったにも関わらず、6人は臨床的に効果を認めた。
Expert Review of Respiratory Medicine 2007; 1: 111-119
http://dx.doi.org/10.1586/17476348.1.1.111
定義
1つの肺空洞病変は嚥下後に一般的に見られ、複数の病変はそのほか空洞性肺疾患により頻繁にみられる。壊死性肺炎は直径2cmまでの空洞に用いられ、「原発性肺膿瘍は」2cm以上の病変に用いられる。これらの原発性空洞性肺疾患と二次性膿瘍とは区別されなければならない。二次性膿瘍の原因としては、異物や腫瘍による気管支閉塞があげられる。
嚥下性肺炎はもともと感染性疾患であり、上部消化管の無菌の内容物(Mendelson症候群)、ガソリン、石油、油脂その他の物質を嚥下した後に起きる気管支、肺の化学性炎症とは異なる。
病原体
口咽頭分泌物の誤嚥はよく見られるが、下気道感染の発生頻度に必ずしも関連しない。感染症とは、自然免疫システムが誤嚥した微生物の量や毒力に敗れたときにのみ起きるものであり、それ以外では健常人には起きにくい状況である。
口腔内には様々な菌が常在しており、その中には肺炎の典型的な原因となるStaphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniae,aemophilus influenzae, そして無数の微好気性、嫌気性菌が存在する。
唾液内の細菌濃度は10^8/mlであり、好気性菌よりも微好気性、嫌気性菌の方が数が多い。
このため誤嚥した物質には多種類の細菌で構成されており、常に嫌気性菌が含まれることとなる。抗生物質以前の時代での報告では、嚥下性肺炎や原発性肺膿瘍では多種類の嫌気性菌が同定されているが、近年では実質的な嫌気性菌の割合は低いということがわかった。
この違いの理由としては、サンプル収集方法(経気管的吸引、気管支鏡手技)、サンプル収集前に抗生物質使用が考えられている。
膿瘍形成は誤嚥が起きてから比較的遅れてから生じる。膿瘍形成と初期症状の時間差は平均3週間以上と報告されている。
肺感染症の動物モデルを原発性肺膿瘍から得られた膿から作成し、このモデルから嫌気性菌を分離した。原発性肺膿瘍に進展するには、一つではなく、最低4つの口咽頭由来の嫌気性菌の組み合わせが必要であった。これらの嫌気性菌には、Fusobacterium nucleatum, Peptostreptococcus, Prevotella melaninogenicaが含まれた。これらは肺膿瘍からよく分離される菌である。
膿瘍形成へ嫌気性菌の役割は確立された理論であるが、壊死を起こさない嚥下性肺炎に嫌気性菌は関連しているのかどうかは明らかではない。よくデザインされた研究で、重症嚥下性肺炎の高齢者95人のうち、分離された67病原菌のうち嫌気性菌は16%にすぎなかった。さらに嫌気性菌を含む7人の患者は不十分な治療であったにも関わらず、6人は臨床的に効果を認めた。
Topic : 薬・医者・病院等 - Genre : Mental/Health




